青森県十和田市にある十和田市現代美術館では、2022年12月10日(土)から2023年6月4日(日)まで、企画展「百瀬文 口を寄せる」を開催。百瀬文氏は、主に映像作品を制作しているアーティスト。見ることと見られること、語ることと語られることの非対称性に着目し、コミュニケーションの多様性を表現しています。
ベルリンやポーランドで個展を開催したり、2016年度アジアン・カルチュラル・カウンシルの助成を受けてニューヨークで滞在及び作品制作を行ったりと、海外での活動の幅も広げています。十和田市現代美術館の展覧会では、どのような作品が展示されるのでしょうか。
新作『声優のためのエチュード』を展示
本展覧会では、百瀬文氏の新作『声優のためのエチュード』が展示されます。この作品では、「声」のみが流れます。キャラクターの性別、容姿、動きなどを見せる映像・アニメーションが付いていないぶん、「声」の主はどのような人物なのかの判断は、来館者一人ひとりに委ねられます。
アニメ作品の制作現場において、少年キャラを演じる声優は女性が多く起用されています。『声優のためのエチュード』の鑑賞を通して、映像が視聴者に与える印象の大きさや、「声」が性別を超えて変化しやすい存在であることを感じられるでしょう。
映像と音声で現代社会の問題へ切り込む作品群
本展覧会では、新作『声優のためのエチュード』以外に、性別の差や世代間のギャップといった現代社会の問題へ切り込む作品を展示します。『定点観測[父の場合]』は、百瀬文氏が作成した173問の問いに、父親が口頭で回答する様子を写した作品です。回答の内容が、父親の意志から離れていく様子には、考えさせられるものがあります。
『Social Dance』は、耳が聞こえない女性と、耳が聞こえる男性の関係にすれ違いが生じる様子を描いた作品。次第に、背後にある抑圧や見えない存在が映し出される様子からは、目が離せません。
展覧会概要
会期 | 2022年12月10日(土)~2023年6月4日(日) |
会場 | 十和田市現代美術館 〒034-0082 青森県十和田市西二番町10-9 |
開館時間 | 9:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで |
休館日 | 毎週月曜日 ※祝日の場合は翌火曜日を休館日とする |
入館料 | 1,800円、高校生以下無料 |
公式サイト | https://towadaartcenter.com/exhibitions/momose-aya/ |